2014年1月21日火曜日

「松琴氏 俳人ながら牛飼である」(その3) 憶えたい21句

松琴の句には、憶えておきたい名句があります。
そこで、21句を選んで以下に掲載します。
なお、句の冒頭には句集『牛飼』のベージ番号を付しました。


季節を詠んだ句



P.14  苗床の息に濡れたる温度計

P.17  ぜんまいの二つのこぶし相そむき

P.28  鳥の巣があると手眞似をして招く

P.33  全くの蛙の闇となりにけり



P.68  乾きたる音して麦の刈られたる



P.93  秋の雨やまねば休む野良着脱ぐ

P.105 一水のかがやき走る花野かな

P.107 木犀の眞っ暗がりに匂ひけり



P.125 雀影こぼるる縁や蒲団干す

P.132 誰も来ぬ所えらびて日向ぼこ

P.137 笹鳴のふと聞こえたる足を止め

P.152 庭枯れて歩るく処の決まりをり

P.154 年の瀬の用事いろいろみな愉し



酪農を詠んだ句



P.22  酪 農 に 転 業
   春暁の靄流れ入る牧舎かな

P.25  春泥に牛乳垂らし集乳車

P.32  病む牛の泪拭きやる余寒かな



P.57  汗の香の牛乳の香のシャツを脱ぐ



P.101 病む牛に厚く敷きたる今年藁

P.117 搾乳の果てて銀漢濃かりけり



その他の句


新 年


P.5  復員の兄よ弟よ野良始め
 


句碑にある句 (春の部)


P.13 をりをりに余花(よか)の散り来る峡田(はけた)かな
   
(貝柄山公園南口の左隅にある句碑に刻まれています)




➜  「松琴氏 俳人ながら牛飼である」(その4) 清田松琴のこと