2015年7月17日金曜日

植物の分類体系

アガパンサス(Agapanthus) 和名 ムラサキクンシラン
キジカクシ目 ヒガンバナ科 アガパンサス属

園芸植物の図鑑2冊を購入して、アガバンサスを調べたところ、どちらの本でも「ユリ科」となっていました。

アガバンサスは、現在用いられている 植物の分類体系では、以下の目・科に含められています。

➊ 新エングラー体系 ユリ目 ヒガンバナ科

➋ クロンキスト体系  ユリ目 ユリ科

➌ APG体系      キジカクシ目 ヒガンバナ科

私が購入した2冊の園芸植物図鑑では、その分類を ➋のクロンキスト体系に拠っているようです。
➊と➌の分類体系では、同じヒガンバナ科となっていますが、高位の目が異なっています。
本ブログにおいては、維管束植物(Vascular plants)の分類名を APG体系に拠っています。


上記三つの植物分類体系は、➊から➌の順に提唱されています。
それぞれの分類体系の概略は、以下のとおりです。

➊ 新エングラー体系 (modified Engler system)

エングラー体系をもとに、1953年及び1964年にハンス・メルヒオールらが提唱した植物の分類体系。
現在も、広義の植物すべて(藻類から被子植物まで)を扱う唯一の分類体系。

➋ クロンキスト体系 (Cronquist system)

1980年代にアーサー・クロンキストが提唱した被子植物の分類体系。
形態などの表現型を基にした従来の分類法としては、学術分野において 事実上の標準(デファクト スタンダード)でした。

➌ APG体系 (APG system)

1998年に公表された被子植物の新しい分類体系。
DNAのゲノム(遺伝情報の全体)配列を解析することによって分類を行う分子系統学に基づいています。
最新版は2009年に公表された APG Ⅲ。

最新の成果を反映した図鑑等では、植物分類を APG Ⅲ に拠っています。

「APG」は、この分類を行っている植物学者の団体である「被子植物系統発生(論)グループ (Angiosperm Phylogeny Group) 」の略称。
このグループ名は、「アンジオスパーム ・ ファイロジェニー ・ グループ」と読むようです。