2015年4月6日月曜日

北総の宗像神社(5) <印西市・岩戸いわと

印西市(大字)岩戸1615番地に 岩戸地区の宗像神社はあります。
この周辺は明治時代の中頃まで 岩戸(いわと)村という地区でした。

岩戸宗像神社の鳥居


鳥居の形は 両部鳥居


大正2年(1913)発行の『千葉県印旛郡誌』の「宗像村誌」には、村社 宗像神社の一つとして以下のように書かれています(後編 P.410~411)。

宗像三女神(須佐之男命の子供とされる)ほかの読み方については、小学館『完訳 日本の古典 第1巻 古事記』(1983)等を参照しました。
なお、文字については、その多くを『千葉県印旛郡誌』のままにしてあります。


(1) 村社 宗像神社

岩戸村 字宮坂にあり、多紀理姫命たきりびめのみこと狭依理姫命さよりびめのみこと多紀津姫命たきつひめのみことを祭る。
旧記 取り失い、確証となすものこれなきながら、岩戸郷いわとごう7カ村の惣鎮守と古老の口碑に遺伝し(言い伝えに残り)、現に、岩戸・師戸もろと鎌苅かまがり造谷つくりや大廻おおば 5カ村の民・氏子うじこ崇敬すうけいせり。

社殿(本殿)、間口 6尺  奥行き 6尺。
境内、703坪あり。 氏子、154戸を有す。
神官は香取正廣にして、管轄庁まで5里18町あり。

境内4社を祭る。 即ち、
 ・足尾神社 足須波神あすはのかみを祭る。 由緒不詳。 建物は 石祠なり。
 ・大杉神社 少名彦名命すくなびこなのみことを祭る。由緒不詳。建物は 間口6尺 奥行き4尺。
 ・八坂神社 素佐之男命すさのおのみことを祭る。由緒不詳。建物は 間口6尺 奥行き9尺。
 ・皇太神社 天照大神あまてらすおおみかみを祭る。 由緒不詳。 建物は 方6尺なり。


堂々とした拝殿


拝殿には「宗像神社」の扁額が懸かっています


元本埜村教育長 五十嵐行男氏による 宗像神社の解説(『印西風土記』)

上の五十嵐氏による宗像神社の解説は、とてもわかりやすく書かれていますので、ぜひ ご一読をおすすめします。
青い文字の部分をクリックすれば、PDF ファイルを見ることができます。


『千葉県印旛郡誌』の「宗像村誌」にも、宗像神社について 以下のように書かれています(後編 P.411)。
『古事記』からの引用部分は、原典に則し訂正を加えています。


 当社を「宗像神社」と称する故は、三柱の姫の神を鎮祭するが故なり。記(古事記)に、この三柱の神は 胸形君(むなかたのきみ)(北九州沿岸に活躍した海人(あま)族の宰領)(ら)(も)ち伊都久(いつく(心身を清め、謹んで聖なるものに使える)三前(みまえ)(「前」は神を数えることば)の大神なり。
 記に、これ即ち 筑紫 胸肩君等 祭るところの神社、これなり。神名式(延喜式神名帳)に、筑前の国 宗像郡 宗像神社 三坐ならびに名神、大いにあり。これ三柱の姫神を宗像大神と称し奉る証なり。

 さて、この神の何なる故にや、大和の国 春日神社に鎮祭する 鹿島・香取・枚岡の神に付坐せり。そもそも鹿島・香取といえるは、神名式の大社にして、実に神代の鎮座たり。しかして、この姫神の本社は筑前の国なれども、鹿島・香取の神に附坐せり。故に ここにも鎮祭せられたり。

宗像大社の三宮 (JAL機内誌「SKYWARD」 2012年1月号より)

 そもそも、この印西の土地たる印旛沼の西方に位置して、沼の東方を左とし、西方を右として、南方に面して あたかも一つの半島をなしたり。
 この神の鎮座したまう筑紫の国の本津宮を、沖津宮・中津宮・辺津宮(へつみや/へつぐう)とも申せられ、この神を鎮祭するに もっとも適したる土地なるが宮どころを この地に相し(招き)たりとみえて、東・南・西に位置して沼水を望見する村落に、皆この神を祭られたり。
 宜(うべ)なるかな、この神に奉仕せる神家は、皆 香取を姓として、社伝にも古代明らかに祖先は香取より来たれりといえり。

 されば、この神社の鎮祭・鎮座、年暦たり。今は寂然たる寒郷の村落なれども、古代は 名神・大社の香取に附座せる 実にやんごとなき郷分社に座しける。


横から見た拝殿


拝殿の後ろにある本殿


見事な彫刻が施されています


本殿に向かって左側面の彫刻


本殿に向かって右側面の彫刻


本殿の彫刻保護のための防護柵は 浄財により設けられたものです


左は本殿、右は拝殿


葉の裏に尖ったもので文字が書ける「葉書の木」


庚申塔や様々な記念碑が並んでいます


合祀されたと思われる多くの祠


壇の上にも祠が祀られていました


宗像神社の裏手は 岩戸地区構造改善センターにつながっています


岩戸地区構造改善センターと消防団の器具庫


岩戸地区構造改善センター


印西市消防団の器具庫


コンビニのスリーエフにあった 岩戸地区の案内地図


岩戸宗像神社から県道64号線をずっと北に進んだところにある造谷橋


造谷橋から少し離れたところに タヌキが横たわっていました
かわいそうに・・・  ( Raccoon dog died by the traffic accident )


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