2014年12月8日月曜日

2014.12.05 ヤツデの花と昆虫たち

先日、ETVで放送している「100分 de 名著」で『ファーブル昆虫記』が取り上げられ、とても興味深く視聴しました。
番組の講師をされていた 奥本大三郎さんが書かれたテレビテキストをゆっくりと読んで、「身近なところもよく見れば面白いんだな」と思いました。

先日、庭先に出ると、ヤツデの花には昼前の暖かい陽射しがいっぱいに降り注いでいて、ハチだのハナアブだのがたくさん飛び交っていました。

ヤツデの花が満開です


雄性期の花(左) と 雌性期の花(右)の両方が見られました


ヤツデの花は まず雄性期を迎え 雄しべが出ます


雄しべが散り、無性期を経て、雌性期となってから雌しべが出ます

ヤツデの花は、実に不思議な開花の仕方をします。
このことについては、以下のサイトの記事が大変参考になりました。

 ➜  ヤツデの花を見る

 ➜  冬咲く花、ヤツデの開花の不思議

 ➜  ヤツデ(八手)


追 記 2014.12.27

東大や京大の先生方が執筆している『植物の科学』(放送大学振興会 2009)という本には、「近親交配を避ける仕組み」として 以下の5つがあげられています(P.183)。

➀ 雌雄異株性 (雄花と雌花が別株につく)
➁ 雌雄異花同株性 (雄花と雌花が同一株につく)
➂ 雌雄異熟性 (雄蕊と雌蕊が時を隔てて熟す)
➃ 異型花柱性 (両全花の雄蕊と雌蕊の長さの組み合わせに多型があり、同一型間では交配が起こらない)
➄ 自家不和合性 (同一ジェネット間では受粉しない)

ヤツデは、これらの5つのうちの「➂ 雌雄異熟性」に当たるようです。

なお、Wikipedia によれば、➄にある「自家不和合」とは、「ある植物個体の正常に発育した花粉が同じ個体の正常な柱頭に受粉しても受精に至らないこと、あるいは正常種子形成に至らないこと」だそうです。
私の植物の先生から、桜のソメイヨシノが、この典型だと聞いたことがあります。
 ➜  鎌ケ谷で見られる木本(3) ウワミズザクラ と イヌザクラ

また、「ジェネット(genet、栄養繁殖集合体)」とは、「匍匐茎などで一つながりになっている個体全体のこと」だといいます。
また、匍匐茎の節から形成される新しい植物体を「ラメット(ramet)」というようです。
春に美しい花を咲かせるシャガは、こうして増える植物の典型です。
 ➜  鎌ケ谷で見られる草本(5) シャガ

この追記 おわり


ヤツデの花のまわりにいる虫たちを撮影しました。
あとで画像を見てみると、さまざまな昆虫が写っていました。
「ヤツデの花には ずいぶんと多くの種の昆虫が集まるものだな」と感心してしまいました。

セイヨウミツバチ


花粉玉を後肢につけた セイヨウミツバチ


クロスズメバチ


シマハナアブ


ナミハナアブ


オオハナアブ


オオハナアブ 前から見ると、なんと大きな目


ホソヒラタアブ


オオクロバエ


ミドリキンバエ


彼らはホバリングが とてもうまいのです

昆虫の名前について、合っているかどうか まったく自信がなかったので、私の昆虫の先生のお一人である ASさんに確認していただきました。
大変お忙しい中をありがとうございました。
また、アブやハエの仲間の複眼について等、知らなかったことをいろいろと教えていただき感謝しております。